あることないこと

いろいろ思うことを書きます

数日前

自転車を走らせて隣町に皮膚を診てもらいに行く。久々に訪れたこの街の風景は少しずつ変化していて、時の流れすら感じる。かつてはこの街にも自分の用事があったのだが、今はめったにない。すぐ近くにあるものも見ないうちにどっかに行ってしまったり形が変わってしまったりする。それはどこにあるものでも一緒だということだ。
病院に着いたが、かなり待つということだった。しょうがないので辺りを散策する。マクドナルドに入って周りをなんとなく眺めたり駅前の待ち合わせの場所で待つ人もいないのに待っているふりをしてみたりした。待っていると、居酒屋の呼び込みのアルバイトが目の前に立っている。身なりは海賊風の格好で全身真っ黒だった。バイトの制服なのだろう。眼は鷹のように鋭く、髭も厳かに整えられていた。歳は二十歳後半だろうか。まだ日が完全に沈み込んではいない頃だったので、客らしき人は歩いていない。それでも彼は駅から出てくる人を待ち構えては、声をかけようとしていた。
僕は彼の武骨な顔立ちをもう一度見た。凛々しい顔立ちをしていたが、眼だけは困惑の色を現していた。きっと彼も友人達と過ごしている間は饒舌なのだろう。そもそもここはベッドタウンで、飲屋街とは言えない街だ。割引が書いてあるメニューを持ちながらなかなか糸口を見つけられない。僕はベンチから立ち上がり、別の暇潰しを探しに行った。